ウェブショップはこちら
0

    インタビュー ] 書家「金森朱音」は、一文字の詩人ーインタビュー前編


    JUGEMテーマ:書道

     

    金森さんは最初に、「これが22歳で大学を卒業するまでの私の作品です」と言って、作品集を見せてくださった。それは、42ページに渡る写真集だった。プロフェッショナルとしての出発の狼煙のような作品集だった。正直、今までいくつかのポートフォリオを見る機会があったが、この作品集には他にはない存在感がある。

     

    金森朱音ポートフォリオ

     

    「この作品集の中に、20歳前後の自分がいます。その頃の私は、社会への怒りや反発、反抗心でいっぱいでした。作品に出てくる言葉は、どちらかというとネガティブなものが多かったです。「破壊」から生まれるものがあるという考えでした。右向け右のように、周りと同じことをしなければならないことに違和感を持ち、「ハミダシモノ」という作品も書いています。自分の中の負のエネルギーを表現し、プラスに変えるというスタンスでした。このように制作をしていた中で、あの東日本大震災が起こりました。

     

    金森朱音 「悲鳴」

    金森朱音 「生死」

    金森朱音作品「3.11悲鳴ー3.11生死」(Photo by Ayumi Yamazaki)

     

    これは、「3.11悲鳴−3.11生死」という作品です。何かに取り憑かれたように、泣きながら書いていました。感情を作品に出さない人もいますが、私は感情をありのままに出します。

     

    震災から時間が経ち、東京では何事も無かったかのように人々が普通の生活を取り戻していました。そんな時に被災地を訪ねてみると、そこは二年経っても、震災の傷跡がそのまま残っていました。それはテレビには映っていないものでした。

    被災された書家の個展も仙台に見に行きました。被災された書家の人たちの中には、今までの作品や、筆や墨など流されてしまった方もいるそうです。被災された書家の作品はやはり重みが違っていました。作品を前に、泣いている方もいました。

    震災などの悲劇を伝えるものは写真や絵画だけなのか、書道でも現実を伝える作品があってもいいのではないか、という思いでした。そうして書いたのが「3.11悲鳴-3.11生死」です。

    金森朱音、「心」

    (Photo by Ayumi Yamazaki)

     

    この「心」は、私にとって分岐点となった作品です。心という字は、優しい雰囲気で書くことが多いかもしれません。しかし、心には怒りや憎しみもあります。凹凸があります。尖っている心もあります。心の二画目の底の部分を丸くしたものも書いてみましたが、それはボツになりました。溢れる感情を表現するためには、この「心」となったのです。

     

    凹凸を表すために、メディウムという画材を使いました。線を立体的にし、塗料の粘度は自分で調整しました。ジャクソン・ポロックのポーリングという技法からインスピレーションを受け、心の点の部分を表現しました。

     

    この「心」は、書でも絵でもどちらでもいいのです。自分の中にあったものをありのままに表現したということが重要なのです。額装にもこだわり、マットは段差をつけ、幅もセンチ単位で考えました。文字の凹凸を見てもらいたかったので、ガラスは入れませんでした。

     

    金森朱音

     

    そして大学を卒業したのですが、いわゆる会社員になる就職は考えませんでした。両親もそれは予想していたようで、私が書道の活動をしていくことを理解してくれました。高校の書道科の教員免許を持っているので、現在は高校で書道科の非常勤講師をしています。非常勤なので時間的には、創作活動をすることができます。

     

    そして結婚、出産も経験し一児の母となったのですが、家族は私の活動を理解し、支えてくれています。出産をしてから書のスタイルが変わってきました。

     

    (後編に続く)

     


    コメント
    コメントする








       

    calendar

    S M T W T F S
       1234
    567891011
    12131415161718
    19202122232425
    262728293031 
    << May 2019 >>

    latest entries

    categories

    archives

    recent comment

    links

    profile

    search this site.

    others

    mobile

    qrcode