ウェブショップはこちら
0

    インタビュー ] 塚田信光さん―連鶴のエキスパート


    JUGEMテーマ:折り紙

     

     

    インタビューの第二回は、神奈川県真鶴町に住んでおられる塚田信光さんに登場していただきました。

     


    塚田さんは、折り紙の中でも特別な「連鶴」というジャンルで、日本を代表する作者です。

    昨年は、1368羽の鶴を一枚の紙から織り上げ、

    その数字はまさにギネスブックに記録することもできたのに、

    そんな栄誉は求めないと、日々、楽しく折り紙を折ることを楽しんでいられます。

    その、塚田さんは、一級建築士としてご自分の建築事務所を経営され、

    40年近く、日本各地で活躍され、キャリアを築きあげていたにも拘わらず、

    今から15年ほど前に、真鶴町に奥様と移住することを決意されました。。。

     

    蓮鶴

     

    質問: 折り紙についての思いを教えてください

     

    「建築の設計者は、2Dという平面の紙の上で対象を書いていくのですが、

    その設計者の頭の中は、実は3Dの立体が構築されているのです。

    折り紙にも似たようなところがあるのですよ。

    一枚の平面の紙を見て、それを頭の中で3Dに変換しながら、

    立体のオブジェを作っていく作業は、建築と似たようところがあるのです。」

     

    「つぶしても良い、切込みを入れても良い。

    デザイン的にきれいな連鶴を、そう、誰が見てもきれいなものを作りたいね。」

     

    「連鶴の起源は、桑名の千羽鶴に遡ります。桑名は、折り鶴の原点です。

    18世紀の後半に、それまで伝承で受け継がれていた連鶴を本にしたお坊さんがいるんです。

    50種類ぐらいあるでしょうかね。」

     

    連鶴

     

     

    「平面である紙は、どんな形にでも、できるのです。

    それが猫だったり、恐竜だったり、カブトムシや蟻だったり。

    その変化を楽しむことがだいご味なのです。例えば、ありんこを折るのは楽しいんですよ。

    最初は大きな紙から始めて、だんだんと小さい紙にして、

    最後は、蟻んこの実物大の小さいものをおる。

    その過程は、試行錯誤です。又、小さい鶴を折るのも楽しいです。

    どんな物でも、折りあげた時は嬉しいし、

    誰でも、その喜びを味わうことができます。それが、楽しいんです。」

     

    折り紙、小さい鶴

     

    折り紙は楽しめばいいんです。

    Dだ、3Dだなんて、ややこしいことを考えなくていいんです。

    私は、日頃から、創作というのは、完全オリジナルでなくても良いと思っています。

    所詮、折り紙の起源は伝承です。遊びなんです。

    私は、日本折り紙協会の講師の免状も持っていますが、そういうのは、

    楽しむこととは、関係無いと思っています。」

     

     

     

    質問: 真鶴の蓮鶴の会をゼロから立ち上げたそうですね。

     

    「最初は、まさに試行錯誤でした。今は、後輩に会長職を譲りましたが、

    私は、蓮鶴の会をやって、色々なことを学びました。」

     

    「蓮鶴の会では、できた物を発表します。最初は、誰でも蓮鶴を折るのは難しい。

    ですから、それを褒めてあげるのです。そうすると、もう一回、折ってみると、

    必ず、前に作ったものより上達している。

    子供に教えるときは、特に、そうです。 

    上手になるこつは、できた物を、他の人にプレゼントするのです。

    人にあげると上達するのですよ。」

     

    ちなみに、塚田さんは、自分で折られた蓮鶴をJRの真鶴駅に、

    無料で取り放題に置いています。

    町の人たちや旅行者の方が、気に入ったものを持って帰っているようです。

    イタリアに留学した学生さんが、その塚田さんの連鶴をお土産に、

    イタリアに持っていったところ感激されたそうです。

     

    連鶴の会

     

     

     

     

    質問: 昨年、連鶴で、猫を折り上げ、大変好評を博したと伺っていますが。

     

     

    「手法は、刺繍のクロススティチに通じるものがあります。

    折り目の重なったところに鶴があり、それが一体となって猫があります。

     

     

    質問:個人的なことを、生い立ちとか若かった頃のことを伺っても宜しいでしょうか?

     

    「現在、77歳です。もともとは、東北で育ちました。陸上の選手でした。

    当時、100メートルを11.1秒で走っていたし、ハードルもやりました。

    高校時代は、東北地方で2位でした。インターハイのリレーの800メートルにも出ました。

    それをある私立大学のコーチが見てくれていて、特別奨学生になりましたが、

    職業を決める時に、父親が「走るのは、若いうち、今はいいけれど、怪我をしたらお終いだ。

    だから手に技を持て」と言ってくれました。 それで、建築士の道を選びました。」

     

    「実は生まれ育った県で、建築士として就職したのですが、

    上司に反抗して東京にボストンバッグ一つ持って、東京に飛び出てきました。」

     

    「私が、恵まれたと思うのは、良い人との出会いで、

    それについては本当に運が良かったと思います。

    建築家の大先生と知り合って、大阪万博に行くことができました。

    そして、2年後に、建築事務所を作って独立できたのです。

    その頃に、結婚することにもなり、それからは、

    事務所も大きくなり、ホテル、保養所、ゴルフ場、体育館など

    色々なプロジェクトを手掛けました。又、ある専門学校の建築の学科長もしていたんですよ。」

     

    「真鶴に来た理由は、息子も独立して、夫婦二人でのんびりと暮らそうよということでした。

    それが、623歳の頃だから、もうかれこれ、15年になります。

    物にこだわらない性格なので、家も、雨風が凌げれば良いということで、

    中古住宅を安く買って直しました。一番、家内ががっかりしたのではないかな。

    建築事務所を経営していたから、

    きっと、もっと良い家に住みたかったのではないかなと、思います。」

     

     

     

    質問: 塚田さんの紙への思いを話していただけませんか?

     

    自分が折り紙をしていて欲しい紙は、上質な和紙です。楮三椏の入った紙は、

    長い繊維が入っていて、折りやすい。洋紙とは、出来上がりが全然違います。

    昔は、じい様が鼻をかんだ紙が和紙でした。それを、囲炉裏端で乾かして、

    二度使い、三度使いしていたんです。今は、ティッシュペーパー。ポイです。

    そういった意味で、現代は紙を大切にしない世の中だと思います。

    とにかく、良い紙は良い。そして、それは和紙ですね。

     

    駿河半紙

     

     

     

    インタビューアーの感想

    引退を機に、建築事務所の経営者という地位と

    デザイン学校の学科長という職に見切りをつけて、

    全く、知らない海辺の町に、ご夫婦二人で移り住む。

    聞けば聞くほど、無謀というか思い切りが良いというか。

    塚田さんの人生航路は、冒険と希望に満ちているように思う。

     

    彼の頭脳の中は、平面と立体を行き来しながら、常に新しいものを創作しているように思う。

    今、塚田さんは、新しい折り紙のアイデアを練っていらっしゃるとか。

    それを、今年の秋に発表したいとのこと。

    創作に関わる人というのは、空中何も無いところから、新しい立体を生み出していく。

    そして、何よりも、その創るというプロセスを楽しんでいる気がする。

     

    インタビューの間、塚田さんは何度も、折り紙を楽しむこと、それが一番だと語ってくれました。

    塚田さん、どうもありがとうございました。今後のご活躍をお祈りします。

     

    連鶴

     

     

     

     

     

     

     

     

     


    コメント
    コメントする








       

    calendar

    S M T W T F S
        123
    45678910
    11121314151617
    18192021222324
    252627282930 
    << November 2018 >>

    latest entries

    categories

    archives

    recent comment

    links

    profile

    search this site.

    others

    mobile

    qrcode